カサ・バトリョ

カサ・バトリョ前景 バルセロナでガウディの建築を見てきました。その中で印象に残ったのが、Casa Batllo(カサ バトリョ) でした。こちらの建築は、バルセロナのメインストリートであるグラシア通りにあります。隣にはこれもまた有名な、建築家ホセ・プッ…

モンジュイックの丘

パブロ・ピカソ 私が子供の頃にバルセロナ・オリンピックがあり、マラソンのゴールがモンジュイックの丘にある競技場でした。有森裕子選手が銀メダルを獲得していました。それで、モンジュイックという言葉が強烈に印象に残っていました。バルセロナに行く機…

ロダンと静岡県立美術館

静岡市にある静岡県立美術館に行ってきました。JR草薙駅から徒歩で25分くらいのところにあります。パリでロダン美術館を見てきましたので、日本でもロダンを見たいと思い、調べてみると、静岡県立美術館にロダン館があることがわかりました。 美術館は丘の上…

サグラダ・ファミリアと日本の彫刻家

バルセロナにガウディの建築を見に行きました。まず、サグラダ・ファミリアから。この教会は未完成です。2026年に完成する予定とのことです。季節は夏、お昼頃の時間を予約しており、戸外に居ると直射日光が痛いくらいです。日本のように湿度がないので…

パリ再訪、クロズリー・デ・リラ

バルセロナにサグラダ・ファミリアを見に行ったついでに、パリを再訪しました。初めてパリに行ったのは、もう7年ほど前になります。その時は、パリに7泊ほどして、パリの名所を見て回りました。今回は、サン・ジェルマン・デ・プレ地区のホテルに泊まり、…

シャルトル

シャルトル 8月の終わりにシャルトルの大聖堂を見に行きました。シャルトルはパリのモンパルナス駅から電車に乗り、1時間ほどのところにあります。モンパルナス駅で切符を買うのに手間取りました。言語を選ぶのに、ダイヤルのように回すということに気づく…

バルザック「グランド・ブルテーシュ奇譚」

今回はバルザックの短編集についての書評である。バルザックの翻訳は多数出版されている。その中で、岩波文庫の訳はかなり古いので、注意が必要である。旧字体でそのまま流通しているものもある。旧字体では、内容を理解する以前に、読み進める困難さが生じ…

海辺のカフカ

私が高校生の頃、村上春樹の「海辺のカフカ」が発売され、学校のクラスの皆が読んでいた。私は、みんなが読んでいるものなぞ誰が読むか、といった気持ちで、読んでいなかった。その後、大学を卒業し、仕事をするようになってから、読んでみた。それなりに長…

天橋立と与謝野晶子

年明け早々、京都駅前でレンタカーを借りて、天橋立まで行ってきた。松島、宮島とともに日本三景の一つに数えられる天橋立だが、いってみると、昭和天皇や、与謝野鉄幹、晶子夫妻の歌碑があったりと、詩情に溢れるところであった。与謝野晶子と関連して今回…

森鴎外 ウィタ・セクスアリス

森鷗外のウィタ・セクスアリスについて。題名は、ラテン語でvita sexualisのこと、「性欲的生活」という意味である。哲学者の金井湛(かない・しずか)が自らの性生活について語るという体裁をとっているものの、実際には鷗外自身の性生活がモデルとなっている…

森鴎外 ウィタ・セクスアリス

森鷗外のウィタ・セクスアリスについて。題名は、ラテン語でvita sexualisのこと、「性欲的生活」という意味である。哲学者の金井湛(かない・しずか)が自らの性生活について語るという体裁をとっているものの、実際には鷗外自身の性生活がモデルとなっている…

森鴎外 ウィタ・セクスアリス

森鷗外のウィタ・セクスアリスについて。題名は、ラテン語でvita sexualisのこと、「性欲的生活」という意味である。哲学者の金井湛(かない・しずか)が自らの性生活について語るという体裁をとっているものの、実際には鷗外自身の性生活がモデルとなっている…

森鴎外 ウィタ・セクスアリス

森鷗外のウィタ・セクスアリスについて。題名は、ラテン語でvita sexualisのこと、「性欲的生活」という意味である。哲学者の金井湛(かない・しずか)が自らの性生活について語るという体裁をとっているものの、実際には鷗外自身の性生活がモデルとなっている…

守銭奴

池袋の東京芸術劇場でモリエールの「守銭奴」の舞台をやっていたので、行ってきた。アルパゴン役を演じるのは佐々木蔵之介。舞台はパリ、時代も違うので、実際に演じられたら、どうなるのかな、と思って見たが、意外にも面白く見る事ができた。ほぼ原作通り…

村上春樹・ノルウェイの森

大学生の時、友人と話していたら、村上春樹の話になり、彼の作品は高校時代に全部読んだぜ、なんて言っている男がいた。私は、村上作品は小説だけでなくエッセイもかなり好きで、「村上朝日堂」や「村上ラジオ」などかなり楽しく読んできたし、何度も読み返…

夏目漱石 こころ

高校3年生の時、現代文の教科書に夏目漱石の「こころ」が載っていた。「先生」の手紙の中の一部であったように思う。「こころ」はそれなりに長い小説だから、その時にはその部分だけを読んで、全体は敬遠して読まなかった。大学入試の勉強もあったから、も…

オイディプス王

今回は、ギリシャ悲劇の古典として有名な、ソフォクレスのオイディプス王である。 ギリシャのテーバイで王の息子として生まれたオイディプス。しかし、息子はやがて王を殺すという不吉な神託が降り、王は息子の両足に留め金を刺して羊飼いに山中に捨てるよう…

芥川龍之介 河童 或る阿呆の一生

前々回のモーパッサンで、芥川のことを書いたので、今回は芥川の作品について取り上げる。新潮文庫の「河童・或阿呆の一生」である。 本作には芥川の晩年に書いた6つの短編が収められている。芥川の死因は自殺である。三十五歳という若さであった。 「大導…

もし僕らのことばがウィスキーであったなら

私をウィスキーの世界に導いてくれた本である。この本を読んで、ボウモアを買って飲んでみたのだが、最初は全然美味しく感じなかった。独特の匂いも好きになれなかった。慣れてくると、味も匂いも気にならなくなった。著者もおすすめしているように、半分を…

脂肪のかたまり

「モオパスサンは氷に似ている。もっとも時には氷砂糖にも似ている」芥川龍之介「侏儒の言葉」 脂肪のかたまりとは、小柄で肥満して丸々と太った娼婦のあだ名である。フランス語で、ブール・ド・スュイフという。作品中は本名のエリザベート・ルーセではなく…

モリエール 人間嫌い

十七世紀フランスの劇作家・モリエールの喜劇である。当時の社交界の悪風習への批判、諷刺の込められた作品。 主人公・アルセストはセリメーヌという女性に熱を上げている。しかしセリメーヌに言い寄っている男性は他にも何人かおり、実はセリメーヌは言い寄…

キルケゴール 死に至る病

何年か前に、デンマークを旅行したことがある。皆さんは、デンマークの有名人をご存知だろうか?まず最初に思いつくのは、アンデルセンだろう。その次に来るのが、哲学者キルケゴールである。今回は、キルケゴールの「死に至る病」について書こうと思う。 ま…

ゴリオ爺さん

パリの下宿、ヴォケー館を舞台に、二人の娘に全財産をつぎ込んで死んでいくゴリオ、出世欲に燃える学生ラスティニヤック、物語後半で、脱走した徒刑囚であることがわかるヴォートランなどの交錯する人生活劇が描き出されている。下宿屋を物語の背景に使った…

若きウェルテルの悩み

婚約者のいる女性に恋をした青年の青年らしい恋、また、求めても手に入れられぬ恋の苦しみと絶望。青年ならば誰にでもありうる恋愛の悩み、相手に対する感情、相手がこうあってほしいという空想・妄想。成就する恋愛ばかりでは人間としての成長は得られぬ。…

ボヴァリー夫人

サマセット・モームによる世界の10大小説のうちの一つである。フランス北部の都市、ルーアン近郊が舞台となっている。 田舎医者のシャルルに見初められた美人のエンマは恋を知らずにシャルルと結婚する。夫婦には子供も生まれ、幸せな生活を送っているよう…

ゾラ 居酒屋

主人公がアル中となって堕落していく物語である。お酒の恐ろしさ、パリ下層階級の生活、どん底とはどういうものかを知ることができる。舞台はパリ、18区のモンマルトルのあたりである。主人公のジェルヴェーズは南仏出身の洗濯女で、内縁の夫・ランチエと一…

カミュ ペスト

死の舞踏 ルツェルン スイス アルジェリアのオランという街。ある朝、医師のリウーは一匹の死んだ鼠を発見した。それ以降、街中でいたるところ鼠の死体が発見されるようになり、何千匹という数の鼠の死体が処分されるようになる。鼠の死体がぱったりと少なく…

スタンダール 恋愛論

カノーヴァ アモールの接吻で蘇るプシュケー@ルーブル 本書に恋愛のテクニックを求めるのは間違いである。なぜなら、そうしたことは何一つ書かれていないからである。恋愛の分類や、性質、ヨーロッパ、アラビア、アメリカにおける恋愛の描写があるのみであ…

ゴーゴリ 「外套・鼻」

19世紀ロシアのサラリーマンの悲哀とでも言おうか、薄給の九等官が外套を新調することにまつわる短編である。主人公は徹頭徹尾不幸な人生を送る、ロシアの公務員である。物語として、もし、幸福な人生を送る、お金持ちの人生を描いたとしたら、あまり読者…

ドストエフスキー 悪霊

あまりの長さのため学生時代は敬遠してきた本だが、やっと読むことができた。ドストエフスキー というと長編が多く名作は文庫本で1000ページを超えるため、なかなか読めない人も多いかもしれない。この小説は一人称「私」の視点で物語が語られる。「罪と罰」…