シャルトル

シャルトル


 8月の終わりにシャルトルの大聖堂を見に行きました。シャルトルはパリのモンパルナス駅から電車に乗り、1時間ほどのところにあります。モンパルナス駅で切符を買うのに手間取りました。言語を選ぶのに、ダイヤルのように回すということに気づくのに時間がかかりました。

 シャルトル駅を出て、少し歩くとすぐに大聖堂が見えてきます。だから、迷うことはありませんでした。それだけ、シャルトルのカテドラルは、大きいです。近くに行くと、より大きさを感じます。カテドラルには、塔が左右に一つずつあります。高さが左右で少し違います。左がいわゆるゴシック様式、右がロマネスク様式です。ロマネスクの方が作られた時代が古いのです。後で作られた方が少し高くなっています。塔にはツアーで登ることができますが、時間が合わず、行けませんでした。次の機会に行ってみたいと思います。

 左右対称にしなければいけない、というのも我々の思い込みだということに気づかされます。左右対称でないものが美しいというのも、驚くべきことです。

 カテドラルに入ると、豪華なステンドグラスが目に入ります。主祭壇の周りの彫刻もなかなかよく出来ています。もともと、彫刻や、ステンドグラスは、聖書の文字が読めないキリスト教徒が、キリストや使徒の物語が視覚的にわかるように作られたものです。たくさんの聖書に関連した聖人が出てくるようです。

 このカテドラルはフランスで最も美しいと言われています。ステンドグラスは外から見ると暗い色ですが、建物の中から見ると、綺麗な彩色が施されています。教会の四方の壁面のどこをみても青を基調としたステンドグラスが見られました。この青い色はシャルトルブルーと呼ばれています。

 ミサが行われていたのでしばらく座って聞いていました。信者の方は立ってお祈りをしています。曜日ごとに決まった時間にミサが行われているようです。

 シャルトルには、カテドラル以外に特に観光するべきところはありません。日帰りで、パリに戻らないといけなかったのですが、夕飯をシャルトルで食べてから戻ろうと思っていました。帰りの電車の時間は21時頃です。ヨーロッパの日没は遅く、8月は21時くらいまでは明るいのです。カテドラルを出てシャンジュ通りを下り、人の流れに乗って、途中で曲がり、商店街をしばらく歩くと、本屋があったので、中に入りました。流石にフランスだけあって、文学や詩の棚が充実していました。メルヴィルの詩集も売っていました。メルヴィルの詩集など普通の日本の書店では売っていないでしょう。そんなに大きな街ではないのですが、それなりの品揃えを誇っていました。日本でも田舎の街の本屋では、漫画と少しの文庫本と、雑誌、猥書くらいしか置いていないところもあります。街の本屋を見れば、その街の文化度が分かるというものです。

 本屋を出て、ピ通りを進むと、マルソー広場に出ました。この広場のカフェには人が沢山いました。きっと美味しい料理を出すのだと思います。この広場にあるショコラトリーでメンチコフというお土産を買いました。シャルトルの銘菓だそうです。これは美味しかったです。そのまま通りを進むと、エパール広場に出ました。この広場には、シャルトル唯一のミシュラン星付きレストランがあります。ここで、19時になったので、広場からまたカテドラルに引き返しました。

 カテドラルにまた戻ってきて、カテドラルの前の広場にある店で食事をしました。シャルトルの方が、首都であるパリよりも食事の値段が安くすみます。しかし、今回の旅では、パリでの食事よりも、シャルトルでとった食事が印象に残りました。地元の食材を使った料理で、ワインも美味しかった。特にテリーヌの味が忘れられません。流石にカテドラルがこの街の中心です。カテドラルの前にあるお店の評価が高いようです。パリよりも英語が通じないのが難点です。日帰りでカテドラルをみてすぐにパリに戻ることもできますが、ゆっくりと街を散策したり、食事をとったりするのも悪くありません。一度行ってみる価値のある街です。